北前船の町伏木湊

伏木は富山県高岡市の北部、小矢部川河口に位置する港町です。古く万葉集の時代より日本海側屈指の良港として繁栄しました。江戸末期から明治・大正にかけて、伏木湊では 北前船交易にたずさわる廻船商人たちが活躍しました。今回は、伏木の町に今も残る海洋交易繁栄の跡を尋ねます。
高岡市商工会議所伏木支所
      (旧伏木商業銀行)

この建造物は明治41年に建てられた西洋風土蔵造りです。内部の柱や壁、窓わく、螺旋階段、玄関のたたき、応接室の入り口・照明などに西洋的な工法や装飾が施されており和洋折衷のハイカラな建物になっています。文明開化の時代、西洋文化の享受に敏感だった北前商人たちの気風が伝わってきます。国登録有形文化財です。

伏木北前船資料館(旧秋元家)
秋元家は江戸時代より海運業を生業とした旧家です。屋号は本江屋。はじめ、船乗りたちの泊まる宿でしたが、後に北前船を所有する廻船問屋として繁栄しました。家屋は明治20年代のものとされています。内装の所々に宿泊所としての名残りが見られます。城のような石垣の上に建つ大きな蔵。この蔵には座敷が設けられ、さらに最上階には珍しい展望楼が付設されています。家の主は、ここから伏木湊を行き交う北前船の帆の姿を一望していたのでしょうね。
高岡市指定文化財。
細く急勾配の階段。船内部の階段を模して船大工に作られたもの。家屋にも船乗りとしての心意気を映しています。
鮮やかな色彩の数寄屋造り座敷(一階)廻船商人の垢抜けた感性が伺えます。
船底部分の廃材を再利用して作った天井。なんとも言えず風情があります。海上の生活を生業とする家の主ならではの美意識ですね。

棚田家
棚田家は、明治23年ころの建造物。廻船問屋を営んだ有力商人の邸宅です。茶の湯に対する主の深い造詣が家の随所に感じられます。切妻づくりの重厚さ・堅牢さと数奇屋づくりの瀟洒さ・上品さが融合した質の高い建物です。
国登録有形文化財。

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