.金屋町楽市
「金屋町楽市」の開催を待つ早朝の金屋町
 繊細な千本格子(狭間子(さまのこ))を備えた京風の伝統的町屋建築が連なる金屋町。普段は閑静なこの町が、この度、華やかに大変身。2008年10月25・26日に開催された「IMAYOU STYLE金屋町楽市」では、富山大学芸術文化学部教授 伊東順二さんの企画により、町まるごとをゾーン・ミュージアムに仕立て、当世の美の匠たちの洗練された工芸作品、なんと約千百点が展示されました。ただ見せるだけではありませんよ、「楽市」の名のとおり、買物もできる超大型クラフトマーケットが金屋町に出現したのです。クラフトファンにはたまらない2日間、たくさんの人で賑わいました。
金屋町楽市は、金屋町、高岡市、富山大学芸術文化学部、地元企業等
の連携によって開催された
 石畳通りには、このイベントのために考案された、三角形を積み上げたアルミ製陳列棚が並び、千本格子や石畳みと調和の取れた対比を成していたのが印象的でした。この棚は世界的な建築家 隈研吾さんと富山大学教授 伊東順二さんと地元企業の三協立山アルミ・三芝硝材との共同製作品。シンプルで上品なフォルム、なおかつ力学的に安定した構造で、用途に合わせて自由自在に組み替えができ、分解と再利用が可能というスグレモノです。金屋町楽市で産声をあげたこのアルミ棚、これから様々なシーンで活躍しそう!
 小泉家の生活空間に展開された、緒方慎一郎さんのクラフトショップには、長兵衛、特別な感動を覚えました。まずは玄関、鋳物の現場ではおなじみの木型と、金屋町の古図を複写した透明パネルを組み合わせた展示に、思わずはっとして立ち止まってしまいました。歌舞伎じゃないけど「出が一番」って感じです。田の字型に部屋が並ぶ屋内には戸を半分だけ開くことによって作られた見通し線が作られ、来館者を奥へ奥へと誘い込みます。各部屋の中央に置かれた低く四角い展示台。微妙な色合いの低く設置された照明。全てが新鮮で魅力的、町屋の生活空間に、日常と非日常、懐かしさと新しさが交錯する独特の世界が創り上げられていました。紙製のエコ容器の集合によって作られたオブジェも楽しかったです。長兵衛、普段からたびたびお邪魔している小泉家で、どっぷり、緒方さんの世界に浸ってしまいました。
  金屋町の新たな魅力に触れることが出来た2日間でした。金屋町楽市で偶然に出合った御婦人いわく、「お店に品物を並べているのとは違って、生活のスタイルを提案しているのが素敵。ワタシもこんな風に暮らしてみたい。日本の町屋って・・、いいわね」 長兵衛も同感です。

高岡400年のものづくりを育んだ千保川、この日も滔滔と流れる


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