− コンプラ醤油は甘口醤油? −
九州大学デジタルアーカイブスより転写
鎖国時代、日本には長崎だけでなく、琉球・対馬・そして松前と4つの貿易ルートがあった。 いま、鎖国についての考え方が変わってきている。海外との交易は想像以上にさかん?
 
 今回も甘い醤油のお話を進めて行きたいと思います。
甘口醤油愛用地地図
 
 
ポルトガルの銀食器
 前回は、「クイズに答えておこわを当てよう」という懸賞を行いました。たくさんのご応募、本当にありがとうございました。当選された方、おこわの味はお口に合いましたか。
おこわの味には、ばっちり地域性があるようですね。東北地方の方から「こちらのおこわは甘い味なのですよ。山元おこわの味とはちょっと違います。」とおたよりを戴きました。(当社のおこわは甘くないです)勉強になりました。各地域のニーズに合わせたおこわの味づくり。これからの課題となりそうですね。
 さて、前回、甘口醤油愛用地地図を掲載した後、何名かの方から「こちらでも甘い醤油が使われています」とのおたよりを頂きました。まず、高知県。高知にも甘口醤油を使用している地域があり、漫画「美味しんぼ」でも紹介されているのです。高知の甘口醤油愛用地では、その昔醤油の醸造元はなく、薩摩から移入していたものが後に当地でも同じ味の醤油を作るようになったのだそうです。また、東北地方。掲載地図よりかなり広い範囲で甘口醤油が使われているようです。特に秋田は、九州にも匹敵するほどの愛好度の強さがあるとのこと。
 東北地方の甘口醤油愛用地の分布を見ていると、「昆布交易との関連」もさることながら、「金銀銅鉄の交易との関連」を連想します。金銀銅鉄は昆布と同様、江戸時代の日本の重要な輸出品でした。
 東北地方にはかつて東洋一の銅鉱山といわれた阿仁鉱山や尾去沢(おさりざわ)鉱山がありました。阿仁鉱山から産した銅は米代川(よねしろがわ)を下り、能代(のしろ)湊から大阪へ。尾去沢鉱山の銅は、北上川を下り宮城県の石巻から西回り航路で大阪へ、後の時代は山越えして三戸から奥州街道で陸奥湾の野辺地まで運ばれ、そこから船に積み込まれ、日本海ルートで大阪に運ばれていたそうです。東北の銅の集散地は甘口醤油の愛用地とほぼ一致しています。そして釜石・大船渡の甘口醤油はとの関連でしょうか。
 山陰地方の甘口醤油愛用地も、或いは「の産出や輸送」と関連があるのかもしれません。山陰には生野銀山や石見銀山があります。日本はかつて世界の銀の1/3を産出していた時代があり、とくに石見銀山はその良質な銀を海外からも注目されていました。では、佐渡島で甘口醤油が好まれているのはつながり?
 このように、昆布交易の拠点だけでなく、近世日本の対外貿易の輸出品であった金・銀・銅・鉄の輸送拠点にも甘口醤油が存在いることはで興味深いです。
 さて、すっかり前置きが長くなってしまいました。今回も懸賞クイズがありますから、挑戦してくださいね。今回のプレゼントは味噌、「長兵衛みそ」です。富山県産のエンレイ大豆を使用した美味しい味噌ですよ。

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