餅米とにしん
餅
 最後に食文化のお話を。
 高岡市内で米穀商を営む二上桂介さんのご先祖は、にしん豊漁の時代、北海道に餅米を大量に移出しておられました。その餅米は、にしん漁場で消費されていたそうです。にしんが浜に押し寄せてくると、ヤン衆と呼ばれる漁師たちが一斉に船に乗り込み沖に向います。船の上はまさに戦場。休む暇もなく漁が続きました。ヤン衆たちの懐には切餅が。浜にご飯を食べに帰る暇さえもないヤン衆たちは、船上で餅をかじりながらひたすら漁を続けたといいます。二上さんのご先祖が送っていた越中産の餅米は、ヤン衆たちの命綱であったというわけです。
 このような話を聞くにつけ、越中と北海道との縁がいかに深いことかと知らされます。江戸時代から続く北前船航路があったればこその縁です。
 さあ、皆さん、「にしん釜のはなし」はこれでおしまい。クイズの答えは見つかりましたか? 最後はお正月らしく、お餅の話で締めくくりとなりました。そうそう、お餅には当社の「おもちにあうお醤油」を、どうぞお忘れなく。それでは、今回はこの辺で。

平成22年1月吉日

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【取材協力】
北海道開拓記念館 よいち水産博物館 小樽市総合博物館 能登中居鋳物館
高岡市金屋町の皆さん
【参考図書】  
『高岡銅器史』(定塚武敏・老田実編 桂書房) 
『図録 能登中居の鋳物』(長谷進編 平成9年) 
「鰊〆粕(肥料)製造用鋳物の大釜(鰊釜)などについて」(橋場末治 『樂水』820) 
『千保川の記憶』(千保川を語る会編 2009年 桂書房)

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