(オ)越中味噌を作ろう
 伝統的な富山の味噌は高塩分で水分量の多い「タプタプの塩くど味噌」。味噌汁にすると富山湾のきときとの魚介類とよく合います。また、お醤油の代用品ともなるおいしい「味噌たまり」がとれます。味噌づくりが盛んであった富山では、ひと昔前まではどの家庭でも味噌桶に自家製味噌を作っていました。家々の軒をくぐり中に入ると、奥の方からはよく熟成した味噌のよい香りがしたといいます。
 ここでは、ヤマゲンで35年間、味噌づくり一筋に励んできた山本工場長と味噌づくり2年目の藤田知宏君に、富山味噌の作り方を教えてもらいます。
味噌づくりは、「作って楽しく、待ってうれしく、食べておいしい」もの。家庭にある道具を使って簡単にできる味噌の作り方ですので、ぜひご家族で挑戦してみてください。ファミリー・ブランドのおいしい味噌ができますよ。では、工場長、藤田君、よろしくお願いします。

初めまして。あまり難しく考えず気楽な気持ちでチャレンジしてください。

道具の準備をする
10リットル用の鍋(大豆煮る)、おたま、すり鉢(大豆潰す)、すりこぎ棒、ざる、たらいなどの大きな入れ物(三原料の混合する)、ビニール袋大2枚(桶中袋)、5〜8キロ用桶、はかり、計量カップ、ボール(塩切りに使う)、へら、しゃもじ
注意すること
1. 正確な計量をしましょう
2. 異物の混入に注意しましょう
3. 手や道具類の衛生に注意しましょう
三原料の準備をする
1. 大豆1.0キロ
2. 麹 1.2キロ
3. 塩 0.8キロを準備してください。
出来上がり量は4.8キロ前後です。
大豆を浸漬する
大豆をよく洗い3〜4倍の水で12時間以上浸しておきます。大豆は2倍ほどに膨らむので鍋は大きめのものを使ってください。
大豆を煮る
大豆を大きめの鍋に入れて沸きあがるまで強火で煮た後、表面にふわふわした泡が浮き上がってきたらすくい取って棄て、弱火で4〜5時間煮ます。蓋はさいばしなどをはさんで少し隙間を作るようにしておきます。鍋中央ぷくぷく煮汁が沸くようになっているのがよいでしょう。途中、大豆が煮汁にしずむように水を足しながら煮ます。一粒とってアラ熱がひいたときに、指で軽くつまんで大豆が潰れる状態になればOK。(秤があれば秤の上に豆を5〜6粒置き指で潰して500〜600gで潰れるのが目安です。)
麹を準備する
麹は市販されているものを使います。麹は生きているため早めに使うことが大切です。すぐに使わない場合は袋の口を開け軽く揺すぶって中の麹をほぐしてから冷蔵庫で保管します。
大豆を潰す
煮上がった大豆は、ざるに移し水切りをします。コクのある味噌に仕上げるには、煮汁(あめ)は棄てずに残しておきましょう。後から種水として使います。
水切りした大豆をすり鉢に小分けに移し、すりこぎ棒でやや粗めに潰します。おたまで3杯ずつとって潰すとよいです。始めはすりこぎ棒で粒を押し潰すように、後にすりこぎ棒で円を書くようにしてすります。練りすぎると熟成が悪くなるので気を付けてください。潰れずに残っている大豆は手で潰してください。少し粒が残っていても気にしないで大丈夫です。
麹の塩きりをする
混合する前に麹と塩500gをよく混ぜます。これを「塩きり麹」といいます。塩300gは残しておきます。
大豆・麹・塩を混合する
残り300gの塩は、取っておいた煮汁(あめ)0.85gに溶かします。 たらいに潰した大豆、塩きり麹、塩を溶かした煮汁(あめ)を入れてよく混ぜます。均等になるまでよく混ぜてください。混ぜむらができていると熟成がうまくいきません。しゃもじで切るように混ぜるとよいです。
桶に仕込む
桶(ポリバケツでもOK)に大きめのビニール袋2枚を重ねて入れます。これに味噌を入れていきます。桶を少し揺すって中に溜まっている空気を抜きます。味噌の表面にぱらぱらと塩を巻き昆布をのせ、上からパンパンと軽くたたきます。空気が入らないよう気をつけながらビニール袋の口をたたんでいきます。外袋は輪ゴムで止めます。桶に製造年月日を書いたラベルを貼っておきましょう。後から切り返しの時期を知るのに役立ちます。
熟成を待つ
熟成期間は11ヶ月から1年以上です。熟成期間中は3ヶ月に一度、口を開け味噌をヘラなどでよくかき混ぜます。これを切り返しといいます。(注:梅雨場から夏にかけての暑い時期は1ヶ月に1回かき混ぜましょう。これはカビを除くために行います。)温度変化の少ない低温の場所に保管してください。直射日光の当たる場所や暖かくなる場所は避けましょう。以上藤田がお伝えしました。わからないことがあったらぼくに聞いてください。
電話0766−21−1111 製造部第一課 山本・藤田
右;山本工場長・左:藤田知宏
10月30日、みそを仕込んで約一ヵ月後。まだまだこれからです。毎月30日は ゛味噌の日゛です。毎月30日に切り返しをすると覚えておきやすいかも。

現在の「食」は残念ながら外から与えられたものばかりになってしまいました。これでは寂しい。ご家庭での味噌づくりを通して自らの手で「食」作り出す喜びを味わってほしいです。また、家族で協力し合いひとつのものを作り上げることのすばらしさをお子さんたちに伝えて下さい。 
長兵衛より

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