(エ)富山の味噌は変わった
 前出の表にみるように弊社のみそは「タプタプの塩くどみそ」とは違うみそです。ここ20年ほどの間に大変身を遂げ、麹歩合、原料処理の方法などはそのままに「水分少なく塩分低め」の味噌になったのです。こうした味噌の変貌の背景には、流通範囲の変化、梱包形態の変化、人の味覚の変化などの原因がありました。
水分量の多いみそには、近年登場したガゼット袋、ピロー袋、カップなどに梱包したとき、汁漏れが起こりやすく荷崩れしやすいという難点がありました。とくに遠路までの搬送は困難を極めました。また、「タプタプの塩くどみそ」はその独自性ゆえに他の地域に受け入れられにくかったのです。お客様から「本当にこれは味噌なのですか。」「水で薄めてある質の悪い味噌なのではないですか。」という質問すらでたくらいです。
そして、現代人の味覚は塩分の高いみそいわゆる「塩くどいみそ」を嫌います。健康管理の意味でも塩分の低い味噌が好まれるのです。
販路拡大・顧客獲得をねらう越中みそメーカー各社は、こうした市場の動向にあわせて水分を少なく塩分を低くし味噌を改良しました。佐渡みそ・能登みそのメーカーも事情は皆同じでしょう。
カップ詰味噌とガゼット袋詰味噌 桶や甕から使い捨ての化成品へと味噌の容器にも変化がある。 
かくして「タプタプの塩くどみそ」はみそメーカーの製造のうちの極わずかと各家庭で作られる自家製造のものに残るだけとなったのです。おそらく、このままではいつかは「幻の味噌」になってしまうのではないでしょうか。弊社では極めて、わずかですが受注生産の形で富山地みその伝統を引くみそを作り続け、次世代に伝えていきたいと考えています。

追記
 高岡市伏木在住の方から教えていただいたことを紹介します。
「佐渡おけさの中に゛佐渡は四十九里波の上゛という歌詞があります。この四十九里とは能登半島珠洲郡内灘町小木(九十九湾の隣)と佐渡が島の小木との間の距離です。また、越後の新潟市付近にイヤ彦神社があるのに対するように能登半島にイヤ姫神社があり両社は相対しており祭礼のとき大かがり火をたいて神わたりをするといわれています。能登と佐渡・越後は想像以上に近くお天気がよく空気が澄んでいるときには能登半島突端狼煙の禄剛崎から佐渡が島が見えます。両地間の交流はきわめて密だったのでしょう。」
 ご教示ありがとうございました。

Copyright 2003 YAMAGEN-JOUZOU co.,ltd. All rights reserved.