高岡古城公園 石垣(写真中央)
はじめに
 日本の城というと、何を思い出しますか。天守閣、石垣、土塀、隅櫓、金のシャチホコ、大手門、濠、橋、漆喰壁、御殿。
残念ながら、私たちの高岡城跡には、何の建物も残っていません。あるのは、満々と水を蓄えたお濠と土塁・土橋、そしてわずかに残る石垣だけ。ですから、かつてここにお城があったと言われても何だかピンときません。
 遠く遡ること今から400年前に、加賀藩二代藩主前田利長が築いた高岡城とは、どのような姿の城郭であったのでしょうか。幻の高岡城の姿を知ってみたい―――高岡市民なら誰でも思うところです。
慶長十七年八月高岡御城景台之絵図写し
高岡市立博物館蔵
博物館HPデジタル写真より転載
 かつての高岡城の姿を伝える一枚の城郭地図があります。慶長17年(1612)8月に作図されたものの写しだと伝える「高岡御城景台之絵図」です。高岡城が築城されたという慶長14年(1609)のわずか3年後に書かれた地図。利長が高岡城内に、居城していた頃の高岡城の様子を伝えるものとして貴重です。
高岡古城公園本丸広場の前田利長像
高岡城本丸跡
 「高岡御城景台之絵図」の図を見ると水色で描かれたお濠の形は現在の高岡古城のお濠の形と全く同じですね。城郭の外輪が慶長時代から手付かずのまま、今日に継承されていることがよく分かります。そして注目されるのは、御丸内(本丸)の北隅の部分。赤い線を書き込んでみました。そこには「御材木御蔵 弐拾間 五拾間 歩〆千歩」と書かれています。これは、どのような意味なのでしょう。この本丸北隅の場所は、隅櫓或いは天守閣があったといわれる場所。そこには、二十間(36m)×五十間(90m)千坪の広さの巨大な材木蔵の存在が示され、隅櫓や天守閣の名はありません。高岡城の隅櫓や天守閣は作られることがなかったのでしょうか。高岡のものとしては、高岡城天守閣が本丸に高々とそびえたっていた姿を信じたいところですが・・・。  
金沢城天守閣は文禄年間から慶長年間初頭にかけて築かれたと言われています。金沢城天守閣は慶長7年(1602)、に落雷により焼失。この時、金沢城城主は前田利長でした。天守の姿を伝える記録が残っておらず、長らく「幻の天守閣」と言われていましたが、近年の発掘調査により、旧いもり堀の埋め立て土やその直前の堆積土中から、金箔鯱瓦・金箔軒平瓦の破片が出土。天守閣付属の瓦である可能性ありということで話題となりました。出土した金箔瓦は、かつての金沢城天守閣の華麗な姿の片鱗かと思われ興味深いですね。
 金沢城天守閣は、慶長7年の焼失の後、再建されることはありませんでした。かわりに三層の櫓が天守閣の役割をしていたと言われています。本城にない天守閣を高岡城に建てるというのは、考え難いようにも思えます。やはり、高岡城天守閣はなかったのでしょうか・・・。
金沢城隅櫓
 しかし、ある古文献には、「御本丸御天守台、御角御櫓跡より伏木湊江入申し候船之帆形相見え申す由之事(高岡城本丸の天主台、隅櫓跡から、伏木湊を見れば、入港する船の帆の形をも見ることができた)」との記載もあります。これによると、高岡城本丸には天守台(石垣で築いた天守閣の土台)や隅櫓があったようです。天守台と隅櫓とはどのようなものだったのでしょうね。或いは、金沢城に類似するような隅櫓が建っていたかと想像は膨らみます。
 それから立派な殿舎・客殿なども本丸に立ち並び壮麗な景観を見せていたのかもしれませんよ。現存の利長書状をみると塀・おうへ(大広間)・おうへ次の間・物置・大所(キッチン)・城戸・番所・鷹部屋・馬屋などの名が見られるので、それらが建てられたことは間違いないでしょう。
 高岡の古老たちは、高岡城の建物は伏見の豊臣秀次の屋敷に使用されていた良材を移築転用して作られていた、聚楽第の遺構を移築した、伏見城の御殿を移築したと誇らしく言っていますから、これが本当ならば、さぞや立派なものだったに違いありません。伏見型の金箔瓦だって使用されていたかもしれませんよ。
 慶長19年5月に、利長は高岡城で亡くなり、高岡城は城主無き城となります。そして翌年の元和元年(1615)の一国一城の令に従って、高岡城の建造物は完全に破却されたといわれています。高岡城の建物は、はかなくも築城からたった5年でその姿を消すこととなったのです。一説に、その遺構は三代藩主前田利常により、江戸屋敷に移転されたとか。
 今回は、高岡城がどのようだったかを想像してみることにしました。高岡築城の風景のイメージが、少しでも膨らんでこればよいと思います。また、築城の現場ではどのような情景が繰り広げられたのか、これも想像してみましょう。今回もいつものように脱線が多いですけれど、何卒、お付き合いを。
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