没後400年特別展「長谷川等伯」図録より、等伯筆「枯木猿猴図(重要文化財)」
1.没後400年等伯展

 2010年3月のある雨の金曜日、わたくし長兵衛は、上野の東京国立博物館で開催されている「没後400年 特別展 長谷川等伯」のナイターに行って参りました。2月23日に開幕したこの特別展は、毎日が満員御礼。3月12日には1日になんと1万3553人もが訪れるという盛況ぶりであったとかー。
 夕闇せまる中、傘をさした長兵衛は、「東京国立博物館は、略して東博(とうはく)っていうからね、そこで等伯展とは語呂がいいなぁ」なんて、ぶつぶつ独り言を言いながら上野の杜へ行ったはいいが、会場に近づくと、人、人、人、人の長蛇の列です。いやぁ、すごい、等伯人気にあらためて驚かされました。
 長谷川等伯(1539〜1610)は、安土桃山時代に活躍した能登七尾出身の絵師です。当時、狩野派一色だった画壇に彗星のように現れ、日本の水墨画の最高峰といわれる、国宝「松林図屏風(しょうりんずびょうぶ)」や、京都智積院所蔵の金碧障壁画、国宝「楓図(かえでず)」などを書き残しました。
 長兵衛の一番のお目当ては、京都市妙心寺龍泉庵(りょうせんあん)所蔵の双幅掛軸、「枯木猿猴図(こぼくえんこうず)」。等伯画の中でも特に人気の高い、名作中の名作です。
 優しく抱合う母子猿に、父猿が長い手を伸ばして近づこうとしているところでしょうか、猿と樹木とをいきいきと描き出す、その筆力や空間構成には等伯ならではの圧倒感があり、見る者の心を奪います。背景に施されている金泥は、空間に変化を与えているだけでなく、猿たちを包む穏やかな日差しを表現しているようで、物語性をいっそう深めています。そして、猿たちの戯れに軋む枝の音や、彼らの互いに呼応しあう声さえ聞こえてきそうな、その躍動感。この絵は牧谿(もっけい)の猿猴図の影響を受けているといわれますが、その巧みな表現は等伯に独特のものです。人垣の中に立ち、私はしばし時間を忘れて見入ってしまいました。

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『枯木猿猴』図由来のぬいぐるみ
 それから、ミュージアムショップに立ち寄って、びっくり。左写真のような手長猿を模した、ぬいぐるみが販売されていて、今回の企画展の人気商品となっていたのです。ふかふかとした体毛が、なんとも愛らしい。いやはや、「枯木猿猴図」のお猿が絵から飛び出して、ぬいぐるみになろうとは、意外や意外。 実はこの「枯木猿猴図」、わが町高岡と、とても因縁が深〜い絵なのですよ。どんな因縁があるかって?それは、今回のお話を読んでからのお楽しみです。では、「枯木猿猴図」の知られざる歴史秘話に最後までお付き合いください。

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