パブリックアート構想
 高岡では、昭和50年代から進められてきた「芸術の森」「彫刻のあるまちづくり」の構想をさらに発展させ、「パブリックアート構想」が進められています。「パブリックアート」とはなんなのか、今のところはっきりした定義もないようですし、日本語に訳した語もないようですが、私の理解するところでは、

「だれでも自由に鑑賞できるような、
        公共の場所に設置されている、
                    野外の彫刻美術 」

であるようです。
高岡における「パブリックアート構想」の出発点となったのが平成13年に立ち上げられた「高岡市パブリックアートまちづくり懇話会」です。市民・アーティスト・企業が参画して、「歩いて楽しいまちづくり」、「ものづくりのまちを情報発信」、「市民の参加と協働による市民のための都市空間の創出」「新たなアート作品の設置」などを掲げ、市民参画によるアートなまちづくりを提言しました。次いで、「高岡市パブリックアートまちづくり市民会議」が設置されて推進事業の立案が行われ、アートマップ作成、散策会、スタンプラリー、まちづくりワークショップ、それから清掃活動まで、市民を巻き込んでのアートの創作が提案されました。「パブリックアート構想」によって設置されたアートの製作例を3つあげてみましょう。

平成14年「伝えの扉」の設置
  「鳥獣戯画」の場面から飛び出したウサギとカエルが、天秤棒で釜をかついで行きます。進行方向には大きな扉が半開きとなっていて、扉の上には猿が座って望遠鏡でウサギとカエルの進行方向を眺めています。扉の向こうには階段があって小さな金色のウサギが昇っています。この作品は、過去、現在、未来の時間の流れを一瞬間の出来事として表しているのです。動物たちは、過去から受け継いだメッセージを未来へと伝えようとしています。

平成15年「鎮守の杜のアルチザン」の設置
 御旅屋町通り商店街から連なる大福院通り。ここにはもと大福院という修験道寺院がありケヤキの大木が木陰をなしていました。都市計画によって大福院は移転となりましたが、残されたケヤキの大木を中心に、守り神のふくろう、そしてものづくりをする職人たちやその側で楽しげに遊ぶ子どもたち姿をメルヘンチックに表現しています。子どもたちは半円錐形の壁面に引力とは無関係に存在し、それぞれの遊びに興じています。壁面は「木登り」のようによじ登って遊べるようになっており、地域の子どもたちの格好の遊び場でもあります。また、壁面には地元の小学生たちの絵画作品がはめ込まれています。

平成16年度 万葉の風
 駅前ビル「ウイングウイング」の前庭に設置されました。万葉集の歌にも多く詠み込まれているケヤキを大地から息吹く生命力になぞらえています。そして、石と金属とが融合した大きなオブジェは万葉の人々が「あいの風」とよんだ季節風を、小さな石のオブジェは人と人との出会いや、文化の交流をイメージしています。吹きわたる風の声を聞きながら、ずっと座っていたくなるような心地よいベンチ。ファニュチャア的機能を備えたパブリックアートです。ここに座っていると、高岡駅の発着音「おりん」の音がとてもよく聞こえます。

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