隠れキリシタン料理
 茶会の後はキリシタン料理の振る舞いです。本堂にお膳を並べたしつらえは、私たちの知るところの報恩講のようです。


 本行寺のキリシタン料理は、「クリスマス・キャロル」の挿絵に登場するような七面鳥の丸焼きやローストビーフやケーキといったものではありませんでした。
 そして、長兵衛が、心より期待を寄せていた
 能登牛もなく、
 また、じぶ煮も鯛の唐蒸しも能登地鶏のとり鍋も能登の海でとれた新鮮な魚介も山盛り御飯もなかったのです。
 それは、醤油・味噌・酢などの伝統調味料で味つけされたこてこての郷土料理。期待が大きかっただけにショックは隠しきれません。
 大根とにんじんのお酢合えは、昨晩の我が家の食卓にもあったではないか。ヒロウズもしかり我が家の定番料理のひとつです。お酢和えとヒロウズは真宗王国富山の報恩講には欠かせないおらっちゃ(ぼくら)の郷土料理。それが、隠れキリシタン料理メニューのなかに入っているとは、何か受け止めがたい目の前の事実。会社にかえって報告すれば、皆に噴出し笑いされるに違いありません。
 「家で食ってりゃよかったな、長兵衛よぉ」と。
 しかしながら、生月島のカクレキリシタン料理もすっかり土着していたではないか。そして、よくよく見ると始めてお目にかかるような珍しい料理もあります。せっかくここまで来たのです。気を取り直して細かく観察してみましょう。

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