第三回 富山の水産加工品 −その進取と伝統 −
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富山では、漁業の発展とともに水産資源を利用した加工品が、古い時代から発展してきました。今回は、富山の水産加工品にスポットを当ててみたいと思います。
今回の取材も営業部立浪です。 |
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富山の水産加工品というとどんなものがありますか。
立浪
まず、蒲鉾ですね。結婚式の引き出物に使用され鯛蒲鉾に代表される飾りかまぼこ、そして昆布まき蒲鉾。
巨大な鯛蒲鉾は、県外の方にとっては驚異的ならしいです。大きいものでは、畳一枚に匹敵するほどのものも作られていたと言いますからね。
畳一枚の大きさの鯛蒲鉾?!
一体どうやって結婚式場から持って帰っていたのでしょうね。
立浪
ホント、すごい話です。富山の結婚式が派手だというのを象徴しているような物です。最近はだいぶ小型化したようですがそれでも大きい。式場からの持ち帰りは大変です。
まっ、おめで鯛ということで。イベント性も十分に感じられますしね。鯛かまぼこも富山の大切な伝統文化です。
立浪
富山のかまぼこのひとつの特徴は板を台にしていないということです。巻き蒲鉾は食べやすくて人気があります。販路が広く、専門店だけでなくデパート・スーパー・コンビ二・駅の売店にも売られているので求めやすいです。
魚介の漬物も種類が豊富です。塩漬けだけでなく、いかの黒づくり・麹に漬けた鯖寿し・かぶら寿し・こんかいわし(いわしのぬか漬け)・にしんの麹漬・鮭の酒粕漬けなど。鱒の寿しのルーツも鱒の漬物にあるそうです。それから、魚の味噌醤油漬けもよく作られていています。魚でつくった醤油=いしるも魚の漬物の一種と言えるでしょう。僕たちの醸造業との関りも深いというわけです。お互い関連しながら発展してきたということでしょうね。
それから、昆布かまぼこもそうですが、昆布を使った加工品。ニシンの昆布巻きや昆布〆なども富山の代表的な水産加工品です。だし用昆布のほかに、おぼろ昆布・たばこ昆布、刻み昆布・おしゃぶり昆布。富山ではどの家庭でもこれら昆布の加工品は常備されています。何しろ昆布消費はずっと富山が日本一ですからね。
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おしゃぶり昆布チャーミンは地元昆布店且コ屋さんの人気商品。
かわいいパンダの絵が目印です。
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魚の干物も種類豊富です。みりん干し、さくら干し、いわしの一夜干しなどもおいしいです。いかのするめも富山ではよく食べます。おぼろ昆布・梅干し・玉子焼きと並んでするめいかは富山のお弁当の定番だそうですよ。
鰤を何日もかけてカチンカチンに乾燥させたイナダなども魚の干物の一種です。イナダは干物の王者。イナダは夏場漁に出られないときのための大切な保存食・たんぱく源として発達したものが、現在では、とても高級な北陸の珍味として贈答用に人気があるそうです。イナダは食通といわれる人でないと知らないかもしれませんね。
そうそう。干物の中でもちょっと別格です。
ところで、なぜ富山に水産加工産業が発達したかというと、やはり富山湾で魚がよく捕れるからですか。富山湾は漁場として優れていて「天然のいけす」といわれるぐらいですから。
立浪
もちろん、それもありますが、大変に早い時代から漁法が工夫されて大量の漁獲が可能だったということも大きな要因です。室町時代、すでに「手打ち網漁」という漁法が発達し、さらに時代が下ると有名な「越中式延縄漁」が全国に知られるようになったんです。明治時代には、遠く北方カムチャツカなどの水域にまで進出して漁場を開拓していました。
漁法の発達によって漁獲量がアップすると生のままでは消費しきれなくなりました。そこで必然的に水産物を加工保存する方法が発展しました。余った魚の保存方法として水産加工食品が発達し、さらに今では保存食としてよりも嗜好品として人気が高まって、おいしい「富山の特産品」になっているんです。
なるほど、魚の保存食がルーツというわけですね。
水産加工品の中では、個人的には黒づくりで白い御飯というが好きですね。
先日、富山市駅前ビルにあるスパゲティのお店に入ったら「いかの黒づくりスパゲッチ(歯が黒くなりません)」ってメニューに書いてあって、「歯が黒くなりません」という但し書がなんだか気に入ってしまって注文しました。にんにく・唐辛子をオリーブオイルで香ばしく炒めて、黒づくりとミックスさせていておいしかったですよ。伝統的な水産加工品もアレンジ次第で生まれ変わるものだと思いました。
ところで、富山の水産加工業界では、続々と新製品が登場していると聞きました。どんなものがあるのですか。
立浪
まず、昆布を利用した製品として昆布パック。
昆布の徳用パックなら私もよく使いますよ。
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早速、試してみた。塗った部分がしっとりしてくるのがわかる。痩身効果もあるそうなので全身パックにもチャレンジしたい。
手のモデル 矢木里子さん
(当社の社員です)
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立浪
台所で使うのではなく、美容の顔や肌に塗るパックです。天然の海洋エキスたっぷりで美肌効果があり、シワも伸びるそうです。昆布屋さんの手が皆ツヤツヤだということにヒントを得て商品化されたそうです。
えっ、そうなんだ。どうしてそれをもっと早く教えてくれないの。
立浪
あっ、隠すつもりもなかったんですが。言い出すきっかけがないじゃないですか。
まぁそうだけど。
立浪
富山では昆布の加工が盛んである分、昆布の廃棄物も多く、それを昆布パックとして再利用しようという意味もあるそうです。
ぜひ、一度試してみたいですね。もう手遅れかもしれないけど。
今はやりのキッチンコスメで、女性をターゲットにした商品開発―――。いい感じですね。
立浪
ええ、ねらいがいいですね。それから、昆布を利用したもうひとつの新商品としてシーヌードルがあります。これも、蒲鉾屋さんが昆布巻き蒲鉾を作る時にでる、昆布の切れ端をうまく再利用できないかと考案した商品です。昆布で出来たそうめんです。付け汁とセットで販売されています。夏場だけの限定商品だそうです。真っ黒なので見た目はちょっと引いてしまうのですが、味はおいしいです。ところてんのような食感で磯臭さなどはまったくありません。腸内の浄化作用もあり、高血圧などの成人病予防に効果があるそうですよ。それにローカロリーです。
へぇ、それもすごく興味をそそられますね。成人病食でカロリー制限を受けている方やダイエット中の方にもよい食材でしょうね。病院食などに販路が期待できそうです。それにしても、富山の水産加工業者の方たちの新商品開発は、すごいですね。いろいろと工夫されていて。意外な発想で商品開発に取り組んでおられる。
立浪
2品の商品開発は、富山県の蒲鉾製造業者の富山かまぼこさんが、昆布かまぼこの製造によって発生する昆布の切れ端を有効利用できないかと県の国際伝統医学センターに持ちかけたのがきっかけでした。そして、県の機関との共同研究の結果、昆布にある物質を加工し麺状にしたのがシーヌードルで、さらにオリーブオイルなどを加えてパックとしたのが昆布パックです。
シーヌードルは富山かまぼこさんで販売しておられます。昆布パックは、顔用パックとして五州薬品さんが製造販売しておられます。
それにしても、富山の昆布へのこだわりは底知れませんね。さすがに、昆布消費日本一の県だけあります。
立浪
昆布といえば、富山県産昆布が誕生したんですよ。
えっ、どういうことですか。
立浪
国内では北海道の海でしかとれなかった昆布が富山湾でもとれるようになったんです。昆布の養殖です。鹿児島大学の松田教授の指導のもと、昆布養殖が進められているそうです。昆布には海中の窒素やリンを吸収して海の富栄養化を防ぐ働きがあるそうで、富山湾の環境保全の意味でも昆布養殖は注目されています。もちろん、食材としても良質な養殖昆布の収穫が待ち望まれています。深層水を利用して養殖昆布とは思えない肉厚でしっかりした昆布の養殖にも成功しているそうですよ。
富山湾で昆布がとれるようになるなんて。驚きました。時代はどんどん進んでいるのですねぇ。
立浪
今回の取材では富山県の水産加工品に焦点を当て勉強しました。取材を進めていくうちに、日々食卓にあがっている伝統食といわれる名産物も、その時代に適合するように発達して現在の姿がある事がわかりました。また、時代が変わって食文化も少しずつ変わるにつれ、各製造業ともに現代に合う新しい商品づくりをされている事もわかりました。我々も伝統を守りながらも現代に合う商品づくりに精進しなければいけないと実感いたしました。
(平成16年 6月 取材:立浪 康広 聞き手:山本 和代子)
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