こだわり
ヤマゲンこだわり取材記
 

第四回 富 山 の 米


今回の取材は、営業部 上田拓郎が担当。地元の米販売業社の上埜商事株式会社さんにお世話になり調査を進めることができました。

 富山は、国内でも屈指の良質米の産地として知られています。また、県民は米食を好み、1世帯当りの米の購入額は、ずっと全国トップレベルにあります。日本人の「米離れ」が言われるようになって久しい今日でも、富山県人の主食は、頑として米です。若い女性でも、一日三食とも米を食べるという人が多いそうです。


 米の食文化は米食だけではありません。富山では、県内産の米を利用した加工食品がさかんに作られています。私たちの味噌づくりもそのひとつ。富山米の米糀に支えられた加工食品です。しかし、あまりに身近にありすぎて「富山米が、どのような特徴を持っているのか」を詳しく知っていないことに気付いた私たちは、改めて富山米について調べてみることにしたのです。今回の取材は、営業部上田が担当。地元の米販売業社の上埜商事株式会社さんにお世話になり調査を進めることができました。

上埜商事さんのお話を聞いているところ。
上埜商事さんは、地元福岡町を拠点に県内一円の米を扱う米穀商。

山本
 まず、富山の米がおいしいと言われるのは、どのような理由によるのでしょう。富山は「水の王国」と言われるくらいですから、やはり豊富で良質な水が稲作に、向いているということでしょうか。


富山平野の風景

上田
 富山県は3000メートル級の北アルプスに蓄えられた雪解け水が、大地を潤す恵まれた環境にあります。また、河川によって作られた扇状地には豊富で良質な水が湧き出しているので、稲作には非常に向いていると考えられます。そして、古い時代から治水工事や用水工事をさかんに行い、農地を改善してきた先人たちの努力も大きいです。 それから、富山の夏は亜熱帯のように高温多湿となるので、気候も稲作に適しています。そして、今回の取材で知ったのですが、全国に誇る純系種子生産や高い更新率も富山米がおいしい理由として考えられます。

山本
 その純系種子・更新率というのは何ですか。


上田

 「純系種子」というのは、純粋な原種だけを使い、異なる品種を丁寧に抜取って丹念に育てた採取圃から収穫した種子のことです。品質固有の特性をしっかりと備え、病原菌を持っていない優良な種子であることが、「純系種子」と呼ばれるための条件です。この「純系種子」が使用されている割合を「種子更新率」と言います。この「種子更新率」が平成13年のデータでは、全国平均が72.6パーセントのところ、富山は97パーセントと全国一位です。

山本
 富山の米づくりは稲の種子づくりから、こだわりを持って行われているということですね。

上田

 それともうひとつには近年、収穫された米の保管施設が大変に進歩し、一番おいしい状態で保管して出荷を待つようになったということです。そして、何より生産者の方たちが情熱をもって、米づくりに励んでおられるということです。

山本
 なるほど。いいこと言うねぇ。上田くんは。
施設が充実していることも大切だけど、つまるところ生産者方たちの情熱ですね。富山県人の勤勉で粘り強い気質は、稲作によって培われてきたものだとよく言われるれるけど、本当にその通りだと思います。
 ところで、富山の米ではコシヒカリが有名ですよね。現在当社で米糀に使用している米のほとんどはコシヒカリです。このコシヒカリは、どのような特色のある米なのですか。

南砺の散居村


上田
 コシヒカリは、食用米として最も人気があって、国内で一番多く作付けされているお米です。昭和31年に「越の国に光り輝け」という願いを込めて命名されました。
 特色としては、粒揃いがよい・光沢がある・透明感が良好・そして、炊いた時にもっちりねばりがあって味が最高ということがあげられます。
田植えを待つ水田

山本
 本当に、コシヒカリはうまいよねぇ。富山ではコシヒカリのほかには、どのような種類の米が作られているのですか。


上田
 コシヒカリのほかには、ハナエチゼン・テンタカクなどがあります。ハナエチゼンは、県内の早生品種としては、最も多く作付けされており、コシヒカリの前に華がさくところから、「華越前」と命名されました。中型米で頭部が丸みを帯び、光沢は良好です。新種の「テンタカク」は、夏の高温条件でも安定して品質よく実るので、富山県では平成16年度より奨励品種に採用して作付けを拡大し、県の代表品種として普及を目指す方針です。

山本
 なるほど、このところ暑さの厳しい夏が続いていて稲作にも被害がありましたから。新種のテンタカクは、近年続いている温暖化にも対応できる品種なのですね。 将来は、テンタカクを使用した味噌も仕込んでみたいものです。米糀になったときにどのような特性を持つのか試してみたい。
 話しは変わるけど、聞くところ、富山は「種籾栽培」でも全国的に有名なのだそうですね。


上田
 ええ、それについても調べました。富山の種籾づくりは古く14世紀末に、井波の瑞泉寺から始まったと伝えられているそうです。浄土真宗の布教活動とともに、僧や信徒たちが種籾を広めました。そして、江戸時代には、有名な富山の売薬さんが全国に売り歩いたそうです。富山の種籾は病害虫に強いと言われ、売薬さんたちの口こみによって全国に広がったのです。今日の「富山種籾王国」の下地は、売薬さんたちによって築かれたと言っても過言ではないのです。
 現在、富山の種籾は、北は北海道から南は九州まで、全国42都道府県へ出荷され、質・量ともに全国一となっています。

山本
 へえー、浄土真宗の布教活動として種籾産業がおこったのですか。そんなに古くからの産業だったのですね。そして、富山の薬売りが一役買っているとは、驚きました。
 全国の稲作が種籾を通して富山とつながっているのだと思うとなんだか感動ですね。

上田
 富山で生産された種籾が、全国に出荷され、植えられ、米が生産されている。ぼくも、お米好きの富山県人のひとりとしてこんなにうれしいことはありません。感動的です。

山本
 富山の米のほうも、全国に出荷されているのでしょ。

上田
 はい。種籾だけでなく、富山米も全国へと出荷されています。販売割合を見ると、県内では17パーセント・関西へ34パーセント・関東へ20パーセント・中京へ20パーセント等、全国的に富山の米が愛されているのが分かります。
山本
 県内での消費がわずかに17パーセントというのは意外ですね。県外への移出の比重がこれほど多いとは、知りませんでした。全国の皆さんが、富山の米を食べてくださっているのですね。
 米は毎日食べる大変に身近なものですが、本当に知らないことばかり。とても勉強になりました。取材ご苦労さまでした。最後に上田くんの感想を聞かせてください。

上田
 当社が味噌を作るには欠かせないお米。水も美しくお米もおいしい富山。その水と米で作られた富山の味噌が美味しくない訳がありません。今回の取材でその自信を深めました。

雪の立山連峰

(平成16年 12月 取材:営業部 上田拓郎  聞き手:山本 和代子)
 
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